研究内容
食は人を良くすると書きます。しかし、私たちが普段の生活で摂取する多種多様な食・栄養シグナルがどのように生体と相互作用を果たしているのか、その全貌解明は難しいです。
私たちは食・栄養シグナルと食欲中枢である視床下部、そして、視床下部へと栄養情報を伝達する内分泌系がどのようにコミュニケーションを図っているのか、そのメカニズムを理解することにより、食・栄養シグナルと生体の新しい基本原理を紐解き、Food as Medicine の具現化、食による健康長寿社会の実現、を目指した研究を実施しています。
母乳には脂質が多く含まれていることはご存知でしょうか? 高脂肪食は成人において肥満を誘導します。しかし、同じく高脂肪である母乳を摂取する赤ちゃんは肥満にはなりません。むしろ、母乳を飲む1年間に発語や独立歩行が可能となるなど発育発達が促されます。なぜでしょうか?
私たちは、その矛盾を紐解く鍵として母乳栄養成分の持つ面白い構造に着目した研究を進めた結果、母乳に由来する新しい食・栄養シグナルが食欲中枢の視床下部において摂食抑制ホルモン作用を増強し抗肥満効果を示す可能性を発見しました。母乳栄養成分の構造に着目した本研究を端緒として、視床下部機能や内分泌機能、高次脳機能と食・栄養シグナルの関わりを紐解くことで、母乳が高脂肪である生理的意義の解明を目指すとともに、勤労世代の肥満症や糖尿病、睡眠の質低下、高齢者のフレイルや認知機能異常を予防改善できる、食・栄養シグナルによる新しい抗肥満、健康長寿戦略を世界に提示していきたいと思っています。そして、生体における食・栄養シグナルの認識や活性修飾の理解を進めることで、食資源を従来とは異なる形で積極利用することに繋げていきたいと考えています。
主要な研究テーマ&キーワード
- 脂質構造マップによる母子間相互作用の理解
- 食・栄養シグナルによる視床下部を標的とした新しい抗肥満戦略の実現
- 母乳型脂質による視床下部食欲中枢および内分泌系との相互作用実態の解明
- 油脂の質による脳機能修飾―代謝・情動・認知・学習・運動・睡眠に及ぼす影響
- 運動環境の有無や栄養状態変容と生体調節機能のクロストークに関する研究
- 植物性シグナルと個体のコミュニケーション機構
- 食の構造と免疫反応の理解
キーワード
食欲、エネルギー代謝、耐糖能、糖代謝、摂食リズム、行動リズム、情動、認知、学習、運動、睡眠、レプチン、インスリン、インクレチン、母子間相互作用、生活習慣病、肥満、糖尿病、視床下部機能、食シグナル学、脂質構造シグナル学、脂質の質、母乳、視床下部器官培養、etc.
研究室生活と目指す姿
1.自主的にメリハリのある生活をしましょう。
研究室を楽しむには?
➡ 研究や授業だけでなく、バイトや遊びなどすべての生活を全力で頑張りましょう!
➡ 短・中期的目標を設定し計画立てて進めましょう(金子も一緒に計画立てます)
2.ワクワクはすべての原動力。楽しい気持ちは伝播します。
➡ 面白いと思ったこと、ワクワクすることに、恐れずチャレンジしましょう!
➡ ロジカルシンキング能力を高めて、伝えるチカラを養ってください。
3.予期せぬ失敗はラボの財産です。過去は変えられます。
➡ 研究を楽しみながら、失敗を恐れずに果敢に挑戦してください。失敗はウエルカムです。
➡ これからの行動で過去の経験を良いものに、財産に変えることができます。ファイト!
4.人と人の繋がりが何よりも大切です。
研究は個人プレーでもあり、チームプレーでもあります。
➡ 先人たちの膨大な諸業績を礎に、独自性を構築しましょう。
➡ 感謝・尊敬・思いやりを忘れずに、ゴールの共有とオープンディスカッションの精神で、金子研一丸となって、未来社会の発展に貢献する新奇性・意外性・重要性のある成果を生み出しましょう!
専任講師
金子賢太朗 KENTARO KANEKO, Ph.D. / P.I. / Senior Assistant Professor
出身地: | 京都府宇治市 |
研究略歴: | 2013年3月京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻 博士課程修了(博士(農学))。2013年4月からアメリカ合衆国テキサス州ヒューストンのベイラー医科大学小児科USDA/ARSチルドレンズニュートリションリサーチセンターにてポストドクトラルアソシエートとして約4年間勤務。その後、京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンターにて特定助教、神戸医療産業都市推進機構老化機構研究部にて研究員、生活用品メーカーにて研究員、京都大学大学院農学研究科食品生物科学専攻にて特定助教を経て、2022年4月より現職。 |
趣味: | ドライブ、バーベキューしながら一献傾けること。 |
メッセージ: | 研究は楽しい! 研究室は楽しい! を学生の皆さんに伝えたいです。 |
夢: | 金子研のOB・OGが将来、金子と共同研究してくれること。 |
E-mail: | kanekok@meiji.ac.jp |
research map | https://researchmap.jp/30636999KK |